瞑想法 その① ヴィパッサナー瞑想
~ヴィパッサナー瞑想とは~
- 苦悩を根絶するための実践法
- 人生において直面する困難や問題に、冷静でバランスのとれた態度で
対処することができる心の浄化法 - ”自己観察”による瞑想により、「解脱」を目指している
- 宗教とは切り離されているが、学びの間、独自の規律を設けている
ヴィパッサナー瞑想とは
ヴィパッサナー瞑想は、インドの最も古い瞑想方法のひとつ。
ヴィパッサナー (Vipassana) にはありのままに物事を見る、という意味が込められています。この言葉は、古代インドで使われていたパーリ語から来ています。
ゴーダマ・ブッダによって2500 年以上前に再発見されました。
ヴィパッサナー瞑想は、人間の普遍的な問題を解決する治療法、 そして生きる技術であり、多くの人に伝えられています。
ヴィパッサナーは、宗教とはかかわりをもちません。
様々な心の汚れを取り除き、「解脱」という究極の幸福を目指しています。
ヴィパッサナー瞑想はブッダによって伝えられましたが、仏教徒だけのものではなく、
ヴィパッサナー瞑想をするため仏教に入ったり、改宗したりしなくても良いとしています。
世界中の様々な宗教・宗派の人々がヴィパッサナー瞑想法を実践しており
この瞑想法は、個人の信仰とは関りをもたず、対立をもたらさないことを証明しています。
ヴィパッサナー瞑想は、ブッダの時代から現代まで受け継がれてきました。
古代インドより伝わったこの瞑想は、現在ミャンマー出身のゴエンカ氏によって導かれています。
サティア・ナラヤン・ゴエンカ
ヴィパッサナー瞑想の瞑想方法
ヴィパッサナー瞑想は、”自己観察”による瞑想方法です。
この瞑想方法では、心・からだそれぞれが相互に影響を与えている深いところに焦点を当てます。
身体の感覚というものは、肉体である生命を形作ると同時に、精神にもかかわっています。身体感覚に焦点を定めることで、心と体の相互作用を体験することができるのです。
この”自己観察”による自己発見は、心とからだの深いレベルまでたどっていくことで
心の汚れを取り除き、慈愛に満ちた、調律のとれた心の状態へとみちびきます。
思考・感情・判断力・感覚が鮮明になり、生まれ、そして消えていくという自然の摂理、
人生で生み出される苦悩から自由になるための方法を理解します。
自らを律する力は増し、安らぎに満ちた人生へと誘います。
ヴィパッサナー瞑想が目指すもの
ヴィパッサナー瞑想は、完全な”悟り”による真の開放を目指しています。
瞑想の目的は、肉体の病気や疾患の治療ではありませんが、心が洗われることで、精神的ストレスなどから来る様々な病気が完全に治ることがあります。
ヴィパッサナー瞑想は、すべての人間の苦しみのもとである苦悩のもとになる「欲望」
「嫌悪」、「無知」これらの3つを取り除きます。
修行を続けることで、ストレスや心地悪い感情・感覚によって引き出される反応を解き、日常の生活でもこれらの反応や緊張をなくしていきます。
ヴィパッサナー瞑想は、盲信的信仰による、宗教活動や儀式ではなく、知的好奇心や哲学の娯楽でもなく、休暇・社交、ヒーリングなどの場でもなく、人生の逃避でもありません。
人間の普遍的な問題を解決し、「解脱」という究極の幸福を目指すものです。
ヴィパッサナー瞑想を学ぶコースがある
ヴィパッサナー瞑想法は、10日間の合宿により無料で学ぶことができるそうです。
参加者は、 コースの規律を守り、瞑想法の基礎を身につけ、その恩恵をを体験するために修行を行います。
このコースでの修行には、3つの段階が設けられています。
- 1.次の五戒を厳守すること
- 生き物を殺さないこと。
- 盗みをしないこと。
- 性行為は一切禁止。
- 真実を述べ、嘘をつかないこと。
- アルコールやドラッグを一切とらないこと。
- 2.鼻から入り出ていく、この呼吸の流れに意識を集中させ、感情や思考をコントロールする
- 3.すべての人や生き物に対する慈悲と慈愛の瞑想を学ぶ
ヴィパッサナー瞑想の合宿では、健康的な精神を保つための心のトレーニングを行います。
ヴィパッサナー瞑想 五戒について
ヴィパッサナー瞑想法の基礎:シーラ (sīla) =道徳律
シーラ は、 サマーディ (samādhi) =精神集中、 パンニャー (paññā) =精神の浄化によって到達することができます。
ですから、五戒は重要なもので、厳格に守らなければなりません。
10日間のコースを修了した人は、次の三戒も守らなければならないそうです。
- 正午以降の食事は摂ってはいけない。(午後にお茶や果物のジュースを取る時間が設けられている)
- 娯楽(歌・踊りなど)は避け、装身具で身を飾ることもしない。
- 贅沢な高いベッドで眠らない。
そして、修行中は、祈祷、礼拝、断食、マントラを唱える、などの行為は一切行うことができず、開始から最終日の午前中まで「聖なる沈黙」を守ることが義務づけられています。
聖なる沈黙とは、身体・言語・精神の沈黙のことです。
ジェスチャー、手話、メモ書きなどを含む一切のコミュニケーションは禁じられています。
他人に触れることも禁じられています。